2012年05月27日(日) |
白花(シラハナ)への手紙(仮)105 B |
宿の手伝いも慣れ、週に一度のレポートの提出にも慣れた。
「少年」
「いや、少年ではなかったな。……失礼した」 鎧姿ではなかったからはじめはわからなかったけど。青い髪をひとつに結えた姿には見覚えがある。 「確か、メリーベちゃんを送ってくださった騎士様ですよね?」 宿についた小さなお客様を追いかけてついてきた男性。はじめは怪しい人と勘違いして彼女を連れて走りまわってしまった。 「もしかしてお詫びに来たんですか?」 そんなことはないだろうと思いつつも、いたずらっぽく問いかけるとしばらく動きを止めた後に首肯した。 「本当にすまなかった。まさか少女と少年を間違えるなど、騎士としてあるまじき行為だ」 真面目な顔で言われると、冗談ですよとは言いづらくなる。 「あの変装は見事だった。件の方を守るためとは言え、まさか変装までするとは。一市民にしておくにはもったいない才能だ」 「あれは、元々から──」 「市民を、少女を守ろうとする態度。敵からどのような目にあうかもものとせず、あえてそのような格好を選ぶとは。騎士として貴君には敬意を払わなければならない」 「…………」 なんだろう。どこかで似たようなやりとりをしたような気がする。 「だが安心してほしい。この街には犯罪が起きぬよう我々騎士団が常に目を光らせている。だから君もわざわざ少年のような身なりをする必要はない」 大真面目にこの台詞。やっぱり既視感を感じる。 反射的に腕輪に手をかけていると。 「イオリちゃんストップ!」 後ろから同僚の整体師に肩をつかまれてしまった。
過去日記
2010年05月27日(木) 委員長のゆううつ。その2−2 2006年05月27日(土) 「EVER GREEN」9−2UP 2005年05月27日(金) 「SkyHigh,FlyHigh!」Part,57UP 2004年05月27日(木) SHFH12−2
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