Stage Diary
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Yoshimi.Aが観た舞台の感想です。
レポートではなく感想だけを載せてたりすることが多いかも…。(^-^;


2004年04月24日(土) 『屋根の上のヴァイオリン弾き』

『屋根の上のヴァイオリン弾き』…これも、市村さんがテヴィエを演じるというから観に行ったもの。
妻に夏木マリさん、娘達に香寿さん、知念さん、笹本さん…もし、今回観劇を見送ったとして次もこのキャストで観れるかどうか…ってことを考えて、『市村さんと夏木さんは観たいよなぁ…』とか『これで次回はまた名古屋飛ばしかもしれない…』とか思いながら…っていうか言い訳しながら?(^^;…行ってきましたが、やはり、見応えのある舞台でした。
そうでなければ観に行かなかったでしょう。ユダヤの歴史は迫害と虐殺だから、そういう重苦しいものは避けたいところなので。
何の考えもなしにチケットを取っていたために、当日は『エリザ…』の友の会優先予約と重なってたので、『む〜!』って思ってましたが、涙を飲んで優先予約を諦めてもよかったですよ。<でもやっぱり、とほほ…(ノ_;)

で…『屋根の上のヴァイオリン弾き』っていうからには、そういうシーンがあるのかと思ってましたが、ない。(^^;
や、屋根の上でヴァイオリンを弾いてる人はいたんですが、テヴィエじゃない。
……有名なミュージカルなんだから、事前にもう少し勉強してから行けばよかった。
ずっとずっと、『テヴィエはいつ屋根の上でヴァイオリンを弾くんだろう』って考えてました。
……『我々は屋根の上のヴァイオリン弾きのようなものだ』ね。(^^;
冒頭のあたりで言ってたにも関わらず、『いつ屋根の上でヴァイオリンを弾くんだろう』って…圧政に抵抗して『屋根の上でヴァイオリンを弾くんだろう』…ってずっと思ってました。ハズカシー(>_<;;;

初めてでプレビューから1ヶ月も経ってないとはいえ、市村さんだから、その出来には心配はしてなかったけど、娘とか…アンサンブルとかに心配要因が…とか思ってた。
ただし、やはり初めての役だからか、市村さんが役に近づくよりも、役を自分の個性に引き寄せているという感はありました。まあ、それが鼻につくほどじゃないとはいえ、初めてだとまだこなれてないのか…って思わずにはいられない。
で、やはりミュージカルなのに、芝居のが楽しかったのは『芝居の市村』だから。
妻の『働いてるのは馬で父さんじゃない』って言ってるのに、そのあとすぐにテヴィエが馬車を自分で引いて出てきて愚痴っぽく状況を説明したり…面白かったです。
いや、ちゃんとミュージカルらしい楽しさもあったんですが、殆ど動きのないような娘との別れのシーンとかにほろほろとしてたから。そういう時ってほんとに何もしなくてもその心情までが溢れてくるようで、ほろほろ…と。
どうしても、後から思い出したときに思い浮かぶのがこういう場面からだし。
でも、マナーの悪いおばさんがいて、そういうシーンで喋るなっての!<私の席の2列後ろの中央あたり
例えば、そこかしこでくすん…という音に交じって鼻をかむ音が交じってたとしてもしょうがない…ほんとは厭だけど…季節やなんやでしょうがない…でも、喋るなら家でビデオ鑑賞にしておいて欲しいわ〜!って思う。切実に…!

こういう題材だとどうしても、家族の在り方とか絆とか、考えさせられるものはあるけど…『お父さんもお母さんも娘に振り回されて大変』…なんて思ったりもするけど、劇場を出れば私も娘の側だから!(笑)
もし、ああいう場合になったとしたら、親の言うことに従うよりも自分の心に正直に突っ走っちゃうから〜!(^^;
親の言うとおりにして後悔だらけの一生を生きるよりも、貧しくても自分の選んだ道を歩きたい。…だって、貧乏=不幸な訳じゃないし。『あの時、親のいうことを聞いたばっかりに…』なんて後悔しながら、人に罪をなすりつけながら
生きるより自分で納得できる人生を歩みたいです。…って若者のようなことを言ってみたり(笑)。

えっと…ミュージカルらしい楽しみは悪夢(テヴィエのでっち上げ)のシーンと結婚式。
この辺はユダヤの戒律とか習慣とかを随所に見ることが出来て非常に興味深い。
そして、馴染みのないユダヤの戒律がどういうものかを知るにはとてもいい場面。<安息日の場面もそうだけど
その宗教を知るには結婚式と葬式の仕方を学ぶのが一番わかりやすく、他の宗教との違いがわかりますね。

そして何より、テヴィエのでっち上げた夢の話の中で『井戸から出てくる叔母ちゃん』が好きっ!
や、娘が肉屋の小父さんよりも幼馴染と結婚したいと言い出して、その気持ちに流されたテヴィエパパは妻への言い訳に『死んだ叔母ちゃんが夢で「花婿は仕立て屋のモーテルの方がいい」って言った』とか『肉屋の前妻が悪霊になって脅された』とか言って妻を説得(?)して娘の希望を叶えてやるのです。
この場は混乱した様子ながらも楽しく、叔母ちゃんがまた可愛かった。
悪霊にされちゃった肉屋の前妻も迫力があってよかったけれど。
でも、その気弱な花婿は…駒田さんなんだよ〜!ムッシュウ・テナルディエがうって変わって、はっきりと自分の意見を言えない気弱な男。(><)…以前にポスター見た時も『同一人物とは思えない』と思ってましたが、やはり…舞台で観ても同一人物とは思えない。
こ、これが女優さんならまだメイクとかで毎回、イメージから顔から違うのはわかるんだけど……男の方でここまで変貌激しいのは…驚きを通り越して、才能?(――;
香寿さんも『リチャード三世』の時の華やかな姿から、一転して素朴な村娘へと変貌してたし、玲奈ちゃんも元気いっぱいな役だけじゃなくて読書好きの大人しい子へと変貌してたし(外見も以前よりはちょっとふっくらしてたと思う…)、本当に舞台という場所は魔窟だ(笑)。

ま、気を取り直して…娘は戒律を破っちゃうような子ばかりで親は大変そうだけど…(ユダヤ版渡鬼…と言うのが的確か)親の決めた結婚相手より、幼馴染と結婚したい長女、ふらりと村にやってきた革新思想の男と恋に落ちちゃう次女、親に内緒で圧政をしくロシア人と結婚しちゃう三女…そのどれもが大変な…って思うけど、やはり私も娘…(^^;…いくつになっていても親じゃないから。
舞台を観て面白がりながらも、心の中では娘を応援してしまう(笑)。
でも、いくら守るべき戒律であっても、人が幸せになれない戒律なら意味はないよね。

ユダヤは…酷い目にあいながらも、その時々を楽しもうとする前向きな姿が羨ましい。その強さを持たなければならなかったのは迫害の歴史がある所為なのかもしれないけど、それでも、負けてないところがいい。
ラストで、テヴィエ一家は故郷を追われ、アメリカへと移住を余儀なくされるけど、そういう斜陽を感じさせるシーンではあっても、きっとその先でも逞しく生きるんだろう…っていう希望が垣間見える。
決して、この話はハッピーエンドとはいえないかもしれないけど、一家は故郷を追われてしまうけれど、心の中には暖かいものが残る作品でした。


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