行ってきました、『キャバレー』! …と、これだけ読んでお姉ちゃんを侍らせてお酒を飲んできたとは思わないで下さい。 場所が有楽町だけに…知らない人が聞いたらねぇ…誤解されそうですね。<家族には言われた…(。。; これを読んでいる方はそんなことはないって信じてますけど。
実は、この日…本当なら『エリザベート』に行くはずでした。 しかし、何故に『エリザベート』を蹴って『キャバレー』なのか…?
A.懸賞で『「キャバレー」S席チケット付きの帝国ホテル宿泊券』が当たったからでーす!(^^)v
今までこまごまとしたものはちょこちょこと当てていましたが、宿泊券…しかも、ミュージカルのチケット付きが当たったのなんて初めてだもーん!(^^*)
それに最初、どうせ楽とかその近辺の日程じゃチケットは取れないだろうと思っていたし…。(^^; それでも、『エリザ…』の演出が以前のままならそんなことはしなかったと思いますが、今シーズンの演出が変って以前ほどには餓えていない(笑)ので、可愛いお嬢さんと新幹線の中で待ち合わせして『キャバレー』と帝国ホテルを堪能してきました。(それでも祐一郎さんの千秋楽は別物なので、翌日は可愛いお嬢さんをほったらかしにして慌ててとんぼ帰りしてきましたが)
しかし、事前に大きなお世話人間がいたので、『舞台のセッティングなども役者がやらねばならないような2流以下のツアーキャストだ』などということを耳にしましたが… だからどうだっていうの? それでも舞台に立ちたいと思う心をそういう言葉で切って捨てる方が人間的にどうかと思う。 以前はお金を取る以上、最高のものを見せてもらわなければ損をしたように思っていたのですが、最近は…あまり巧くなくても、舞台に対する愛情を発露してくれる方がいいな…と思うこともあり、以前ほどにはそれを気にしなくなりました。ただ、そういうことを言いながらそのくせ毒を吐くのはもっとよりよいものをみせて欲しいからです。今は下手でもこれから先を目指して頑張れ!…ってカンジで。 有名なタレントよりも無名の演技できる人の方がいいとしみじみと思うこともあるけど、タレントでも一生懸命頑張ってる姿を見ると何も言えず…ただ、努力をしない人間には容赦ないですが。
なので、この場合に許せないのは…そうしてコストを削減しているのに、グッズをいろいろ出して稼いでいるのに、それをどこにも還元しないで私腹を肥やしているぼったくりプロモーターをこそ、問題にすべきでしょう。 アンケートにもちゃんとこのことを書いてきました。役者と客を馬鹿にしているのか…と。
日本のチケットは高すぎるので、できれば、チケット代は(どのカンパニーでも)S席1万円程度にして欲しいものです。理想的なのは『ブロードウェイ並み』という奴でしょうが、馬鹿高いロイヤリティに目を楽しませる衣装代、大道具、小道具などを考えれば…そのくらいはしょうがないと思うのです。 四季のようにレベルを維持しつつ、価格を抑える…東宝や松竹やその他の会社にもそういう意識をもっと持って欲しいものです。…で、そういう理論を実践して頑張ってる小さい会社のが潰れちゃうし…日本ておかしな国だ。 大体、チケットがブロードウェイやウェストエンドに比べて高すぎるっつーの!これじゃ気楽に観に行けないやん!もっとチケット代が安かったら頻繁に観に行くって! その点でだけ尊敬できるのは宝塚。あそこは好きじゃないけどブロードウェイ並みのチケット代だから。
そんなことを愚痴りつつ、そんな困った事情も抱えた演目でしたが、内容は…楽しかったですよ。 2流以下のツアーキャストだなんて言われていても、日本の歌えない、躍れない、芝居ができない名前だけで出ているようなタレントやアイドルの出ている舞台よりは余程、楽しめました。 どちらかというとこちらの方を問題にせねばならないのではないでしょうか。 2流以下のツアーキャストに劣るのが碌なレッスンも稽古もせずに主役を張ってるのだから。 『歌えない、躍れない、芝居ができない、努力もしない、枕営業だけで役を貰っているタレントを舞台に出すな!』…って大いに言いたいものです。 ただ、『舞台に出たい、その為に頑張ってる』子はTVよりもどんどん舞台に出て欲しいですよ。 この先の日本の演劇界の為に。
上記のようなことがあるからか、それとも元からの演出によるものか、舞台の上にセットされたオケピットで演奏して、脇にある階段から降りてくると歌って踊って…そういうことがあるから役者さん達は楽器を演奏できるダンサーや役者なのか、踊れるミュージシャンなのか…ということは気になりましたが、元々『キャバレー』が持っている力を損なう理由にはならず、楽しめました。 最初、流石に音は吹き替えかと思いましたが、所々タイミングはずれてるし、個々のレベルのバランスが悪いし、管楽器の人の演奏中に腹筋が動いていたので多分、ちゃんと音を出していたのではないか…と思ってます。コンマスも慌てたり、必死になってたりした場面もありましたし。 これを吹き替えで表現してるというのなら…そんな手間暇かけずにちゃんとしたカンパニーで来日してもらって欲しいものです。
ただ、やはり字幕って慣れない…!(><) しかも、今回はベルリンが舞台で英語とドイツ語が混じるから余計にわかりづらいです。 しかも、アルファベットを縦の電光掲示棒で表記するのが間違ってるよ…TVのテロップみたいに下に出すとか他に方法はなかったんだろうか…と思わずにはいられない。 来日じゃなくて国内のキャストでやって欲しかったような気がするけれど、歌に楽器に演技に…芸達者な人ばかりを集めなければいけない上に稽古に時間がかかりそう。 そういう面があるから、国内キャストじゃ実現しないのかもしれない。
実は、『キャバレー』を見るのは初めてだけど、歌はよく馴染んだもの。 これもタナボタやミュージカルの役者さんたちのコンサートのおかげ。 初めての観劇なのに一緒に歌えちゃうよ…(^^; ま、それだけ覚えやすくて楽しい…秀逸な曲が多いということなのだけど。
ただ、世相的にその時代背景のことについて考えさせられてしまいますね。 大家さんと店子の老いらくの恋…幸せそうで周囲の人も婚約パーティーで祝福してくれるのだけれど、でも、相手がユダヤ人だから今あるものを失うことを恐れて結婚はできないという。 確かに…歳を取れば取るほど、そういう決断は難しいのかもしれない。 そして、こうした題材に使われるほど、ナチスは未だに影を落としている。 でも、それは過去の傷痕じゃなくて…再びそうなるかもしれない勢力が台頭しているから。 このままではあの悲劇をまた繰り返してしまうかもしれないから。 だから、そのことを忘れるなといわれている気がする。 ただ、それをもっと感じて欲しい人に限って、理解力はないし、上っ面のことしか見ない上に人の話も聞きやしないのですが…。 日本は平和ボケしているのかもしれないけど、もっと視野を広く持つべきだと思います。 だから、きっと『キャバレー』も楽しいだけなら観なかった。 そういうメッセージが込められているから、一部分を見ただけでも当たりの舞台だという匂いが漂っていると思う。そうした力のある作品は観終わったあとに色々心に残るものがあるからまた劇場通いを止められない。 そして、どんどん中毒は悪化し、完成された映像美よりもその時だけの臨場感を身体が求める(笑)。
また来日してくれるのもいいけど、いつかこれを日本のキャストでやれたらいいね…。
|