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2007年04月10日(火) ■ |
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妄想族の戯言06。…のみ。 |
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目が覚めたら、見慣れた天井があった。 山のような照明で照らされてもなお、いつもほの暗いケイの部屋。 なんでここで寝てるんだっけ…。
「おっ!なんだ、起きたんならそう言えよ!!」 急に真横で聞こえた声には聞き覚えがあった。 「…トシかよ。」 よっ、と小さく掛け声が聞こえて、日に焼けたトシの顔が覗き込む。 どうやらベッドの陰にしゃがみこんでいたようだ。 「なんだぁ?俺が看病じゃ不服だっつーのか!」 看病…そういえば体がやけに重たい。 体のあちこちが熱を持って疼いてる気がする。 体のあちこち…
「!!」 起き上がろうとしたら、まったく体が動かなかった。 「無理すんなって、まだ動けっこねぇから。」 「ケイは?!」 そうだ、ケイを助けに行って、それから… 「俺、なんで生きてんの?」 辛うじて動く腕を、目の前まで持ち上げてみる。 ガーゼと包帯と消毒薬の蛍光色にまみれた両腕だ。 滲んでいたのであろう血も今は茶色く、指でつつくとカサカサと剥がれ落ちた。
「ま、それは俺のおかげってヤツかな〜!一生敬えよ!!」 親指立てて、白い歯むき出しでトシがニヤニヤ笑っている。 全てじゃないにしろ、コレは嘘だろーな。 「…っそ。…ケイは?」 「…礼もナシかよ。」 「ドウモアリガトウ。で、ケイは?」 返事がないのを訝しんで覗き込んだら、照明の逆光からトシの表情はよく分らない。 ただ、肩は小刻みに震えていて、唇を噛んでいるのか小さな息が何度か漏れた。 トシの沈黙はそう長くなかったのに、咽はカラカラに渇いていた。
「ケイは…」
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