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アキラ
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2007年04月22日(日)
妄想族の戯言11。

この駄文が載ってる記事(今日より前)の日付は以下のとおり。
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無題:11-------------------------


「……。」
夢の中で聞こえたケイの声に、突然目が覚めた。
さっきと同じ天井が見える。
首を動かして部屋を見渡したら、トシが床にしゃがんでいた。
「サボってんじゃねー。」
背中に向けて言ってやると、トシはビクリと動いたあと振り返った。
「さぼってねぇ。」
嘘つけ、と笑いながらまた天井に視線をやる。
またうるさく片付けの音が部屋に響く。
しばらく沈黙が続いた。

「なあ、トシ。」
ショウは変わらず天井を見上げている。
「なんだ、邪魔すんなよ。」
背中を向けたまま、トシは片付けに忙しいフリをする。
「サボってたくせに。…なぁおい、トシ。」
「うるせぇ、ケイに告げ口すんじゃねえぞ。」
トシが振り返ると、ショウがこっちを見ている。
「ありがとな。」
へへっと照れくさそうに、視線を合わせて笑う。

ちょっと前に礼の言葉を要求したときは応じなかったのに
突然のショウの「ありがとう」にトシはぱちくりと瞬きをした。
一瞬何に対する礼なのか理解できなかった。

看病に関しては曲がりなりにも礼は既に貰った。
ケイの居所を示す手がかりだって、自力で手に入れたわけじゃない。
おまけに、途中でショウを見失って、一人で乗り込ませる事になった。
「何もしてねぇだろ、俺は。」
「そんなことねーだろ。バイク、どうすんだよあれ。」
ショウは思い出し笑いを始める。

ショウが飛び出したあと、しばらくしてからアドレスの示す場所に思い至った。
出て行ってかなりの時間になる。このまま走って追いかけていたのでは、間に合わないかもしれない。
とっさに踵を返して、ピザ屋のバイクを取りに戻った。
必死でエンジン吹かして近くまで来たら、地面に開いた穴からもの凄い銃声が聞こえる。
バイクを乗り捨てて、地下に続く入り口から回り込もうと考えたときだった。

「おい、ショウ!!」
銃声に紛れてケイの必死な声がする。
「やめろ!ショウ!!!」
無我夢中でそのままバイクごと穴に突っ込んだ。

今思い返すと、我ながら無謀だったと思う。
というか無謀以外のなにもんでもなかった。

バイクごと突っ込んだら、もちろんカッコよく着地!…なんて事にはなるわけもなく。
そのままバイクと一緒に派手に転がった。
その転がった場所がまた、ちょうどショウ達と逆側。
しかも、敵の真上に激突するならまだしも、ちょうど手前で大転倒。
俺本体はといえば、ゴロゴロと転がってバイクとショウのちょうど中間地点で悶絶。
敵さんがあっけにとられたのも一瞬のこと。
やつらバイクを超えて俺に発砲しようとしやがって。
地面でのたうっていた俺は、そこで頭をかばう姿勢のまま、所持していた銃を無茶苦茶に発砲。
したところ、地面に横倒しになっていたバイクに見事全弾命中。
そのうち何発かが都合よく燃料タンクを貫いたらしく、ガソリン大爆発。

爆風で吹き飛んだ俺は、今度こそショウとケイの所へたどり着いた。
そんで、ショウにもろ突っ込んで、二人揃って…そのまま気を失った。

トシ本人にしてみれば情けないらしい回想。
ショウにしてみれば喜ばしい上に可笑しく、ずっと笑い続けている。
「結局俺ら二人とも、助け出すはずのケイに引き摺られて帰ってきてんだもんな!」
今も降り続いている雨のおかげで、ケイは程なくショウの背後から動けるようになった。
爆風で吹き飛んでしまった者達で食事を済ませたらしく、さっき見たケイの
顔色は比較的良くなっていた気がする。

表情は相変わらず、さえなかったけれど。