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―― 連ねた意味も、持てない小鳥。
氷室火 生来
回帰

2008年12月23日(火)
若しかしたらの前日。


珍しい相手から珍しい内容で珍しく相談らしきものを受けたものだからもうそろそろ末期なのかなとか思うそんな僕は時折残酷なテーゼ。
いや、先ず、その人が自分に相談をしようという思考に至りそうな気がしない。見下してはいないだろうが、同等の立場には見做していなかろう。
それでもそれは現実に起こった事なのだからして、ちょいちょい疑問点を差し挟みつつ話を冷静に分解、分析する。
さりとてまぁ、結局はその人の現状把握以上のものは出なかった訳なのだけれど。基本的な思考パターンに似通っている部分があるのでそれは仕方がないとも取れる。というか現状と打って玄奘と出すこのパソコン打ん殴ってもおkですか?w
おそらくは、新たな見解の要員としてではなく、単純に自らが整理し直す為、或いは異常点が無いかをさらう為の、謂わば聞いとくだけの役を求められていたように思う。
ま、人に話すだけでもいい、というのが悩みですし、個人的には文字で見直した方がスムーズですが、要するにそういう事をしたいのだろうな、と思うと。
おいおいそんな相手さえおれしかいないのかよ、とついその人に同情ではないが哀れみの手くらいぽんと肩に置きたくなる。信用なんて、とてもない発想。

ただ、その人は最終的に、他人の重度の精神的悩みは聞けない人なので、今回相談を受けた事柄の最終的な解決が心理的要因の解消である以上分野違いとして、冷徹に現実処理だけして誰かに任せた方がいい、という結論に落ち着く。
誰かが精神的なものから来る悩みを抱えたり病気になったとても、面倒臭いと思ったり、怠け病だと決めつけたり、それはその人が精神的に参る事がないからで。尤もこの相談を自分に持ちかけている件が既に重症っぽい気はするので断定はしませんが。
優秀なのです、根本的に。人の力を借りられないのならば己が二倍頑張ればいいと思って、それを実行出来てしまう。八方美人の器用貧乏だから、なんでもそこそこ人並か以上になれてしまうし、その範疇に至るまでは努力を努力とも思わず手を緩めない。
故に、頑張っているのに身につかない苦しさだとか、その姿勢を周囲に理解されずプレッシャーになってしまうだとか、考える事柄が多過ぎてパニックになってしまい何も手につかなくなるだとか、夢と現実のギャップだとか、そういうものを理解する事が出来ない。
クイズ番組を見ていてなんでこんな問題がわからないの? とでも言うように、何故この程度も出来ないの、と悪気無く思い、しかし口には出さずじゃあいいやそれで出来た穴は埋めよう、だの今度からは自分でやろう、だの、手間隙かけて育てる事も別の誰かを見つけて分担する事もせずどんどん己に負担させていく。しかし鈍感な分鬱病にはなれない為、最も逃げ道が無いタイプとも取れますね。過労死になる人にも似ている。
決して、単純な訳でもないとは思うのだけれど、人と人とが他人同士である以上、歴然として理解出来ない壁があり、それは自分とその人の間にもあって、それでいて面白いものだな、と。
大凡の人は、精神的な弱りを経験し、その痛みから手を差し伸べられる人と、見たくもないと拒絶する人がいて、きっとそれくらいはあの人にもある筈なのに、まるでちんぷんかんぷんなのだからして。
ちょっとしたカルト宗教にすら似ている気がします。あれが篭絡させる手段は精神病患者を回復に向かわせる治療の途中、心を開いた辺りで放置する事にあるんだそうで、この人も人の話は聞けるしアドバイスは出来るけれど、上記の理由から言って欲しい一言だとか回復には至れないんだろうな、と思うと。


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