日々の戯言置き場。
**ユリ**



 火葬

メロを庭に埋めることも母は考えた。
でも、それではいつまでもしこりが残る。

先に死んでいったクマも火葬だったから
火葬をすることにした。

遺体を抱き上げ、ごめんねごめんねと泣き続ける母を
見ていられなくて、私はメロから目を離した。

メロの体の組織はもう崩れつつあった。


焼き場に持っていって簡易葬式を行う。
母と私と二人で。

焼き釜に職員さんによってそっとメロが
中に入れられた。釜の奥にはゴロゴロと
他の動物が入っているらしき籠や箱があった。

メロは一匹で行くわけじゃなかった。


釜の中は高温で燃え盛り、
すぐに原形をとどめなくなった。
煙突から、黒い煙が昇っていく。
ちらりちらりと舞いながら落ちてくる小さな灰を
メロのかけらかと思い握り締めた。

メロの体は、風と一緒になった。
残った小さな骨のかけらも、
土と一緒になった。

もう、苦しい思いもつらい思いも
ストレスも何も感じない世界に行った。

メロにとっては喜ばしいことだと考えたい。

動物は元来、死に抗うこともなく
自然に自分の命をまっとうしようとする。

メロもきっとそうだ。

風をきっと大きく吸えば、きっとメロが
入ってくるかもしれない、なんて思って
大きく深呼吸をする。

メロ、さよならだね。

2006年11月06日(月)
初日 最新 目次 HOME