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■ 火葬
メロを庭に埋めることも母は考えた。 でも、それではいつまでもしこりが残る。
先に死んでいったクマも火葬だったから 火葬をすることにした。
遺体を抱き上げ、ごめんねごめんねと泣き続ける母を 見ていられなくて、私はメロから目を離した。
メロの体の組織はもう崩れつつあった。
焼き場に持っていって簡易葬式を行う。 母と私と二人で。
焼き釜に職員さんによってそっとメロが 中に入れられた。釜の奥にはゴロゴロと 他の動物が入っているらしき籠や箱があった。
メロは一匹で行くわけじゃなかった。
釜の中は高温で燃え盛り、 すぐに原形をとどめなくなった。 煙突から、黒い煙が昇っていく。 ちらりちらりと舞いながら落ちてくる小さな灰を メロのかけらかと思い握り締めた。
メロの体は、風と一緒になった。 残った小さな骨のかけらも、 土と一緒になった。
もう、苦しい思いもつらい思いも ストレスも何も感じない世界に行った。
メロにとっては喜ばしいことだと考えたい。
動物は元来、死に抗うこともなく 自然に自分の命をまっとうしようとする。
メロもきっとそうだ。
風をきっと大きく吸えば、きっとメロが 入ってくるかもしれない、なんて思って 大きく深呼吸をする。
メロ、さよならだね。
2006年11月06日(月)
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