2005年07月24日(日) |
島崎藤村「桜の実の熟する時」 |
藤村は、徹底的に苦手だ。 薦められてえんやこら、うんとこしょ、と読み終えはしたけれど、苦手だ。
なにがこんなにだめなんだろう。 時代が違う? 文体が硬い? 思想が理解できない? 作者と私で共有するコンテクストがない? なんて、言っている私もよくわからず書き連ねているぞ。
きっと、藤村氏の青春時代の思いをつづったんだろうなあ。 繊細で、実直で、いささか真面目に過ぎる青春は、私にとっては興味のもてない異世界でありました。 藤村、また会う日まで、ごきげんよう。
中で唯一共感できた記述を。 「のみならず、黙って行き黙って帰る教師としての勤めをいっそう苦しく不安にしたものは、どうやら彼が学問の資本の尽きそうになってなってきたことであった。不慣な彼は、あまりに熱心に生徒を教えすぎて、一年足らずの間にわずかな学問をみな出しきってしまった。それ以上、教える資本がないかのように自分ながら危ぶまれてきた。ありついた職業も、それを投出するより外に仕方がないほど、教師としても行きづまった。」
はい。その空虚感に共感です。
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