睦月の戯言御伽草子〜雪の一片〜 Copyright (C) 2002-2015 Milk Mutuki. All rights reserved
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ここの春は短い 「雪のないうちに一つ目の村につきましょう。」笙はそう言って先を急がせる。 僕はと言うと雪のない道を目に付くもの目に付くもの全部確認するために立ち止まる。 「ここは花も咲くんだねぇ」「あたりまえです。旅籠にも花があったでしょう?」確かにあった。 でも茶室の窓から見える椿の印象が強すぎて他の花は見たことがないきがする。 「ああ、この時期には櫻咲いていたっけ。」独り言ちする。 「まずは花さんの村ですから。」弾んだ声が聞こえた。 「うん」なんとなく返事する。 土の匂いと暖かな日差し。旅籠の露天風呂を思い出した。 「露天は気持ちいいだろうなぁ」
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