2006年12月22日(金) |
チーム安倍のメッセージ伝達力 |
安倍内閣を見るのがひそかに面白い。 逆説的だけれど、小泉内閣から安倍内閣に変わって、自民党の偉い人 たちが、浮き足立つというか、てんで勝手な言動や行動をする反面、 安倍政権の中核とでもいうべき、「チーム安倍」の内閣府の閣僚たちの 行動が、全然見えてきていないあたりが不思議というか、興味深いなあ と思うのだ。
安倍政権発足当時、首相の肝いりで、内閣府の補佐官を小泉政権の時 より増やして最大5人にして、しかも安倍首相の思想的にも似ていて、 仲のいい人々を結集したはずなのに、マスメディアに彼らが登場して くる機会がほとんどないのだ。
その中で、ちょっとだけ目立ったかな、と思うのは、北朝鮮の核問題の 時に訪米した小池百合子補佐官くらい。 残りの高市早苗など、他の5人が何をしているのか、ちっともわからない というのは、隠れて何かを進めているのか、それともマスメディアの琴 線に触れないの、どちらなのだろうか。
まあ、安倍政権になった途端、麻生外相や、中川政調会長が、核議論に ついての発言をしたり、はたまた郵政造反議員の復党問題では、幹事長 の方の中川議員と、参議院のドンらしい人との間の綱引きがあったり、 当の野田聖子、佐藤ゆかりの女の戦いがマスメディアの政治面を賑わせ ていたので、目立たないのもしょうがないのかもしれないが。
でも、内閣の顔だっけ?の塩崎官房長官でさえ、その前の小泉政権の 時の官房長官に比べて、ニュースで顔を見る機会が少ない気がするので ある。
これって、おそらくは重要案件については、内閣の意向を聞くよりは、 自民党の幹部に聞いた方が早い、と少なくとも政治部の記者たちは 思っているって事なのかな。 すなわち、マスメディアもすでに、安倍総理周辺の発言力というのを 軽視し始めているって事なのかもしれないな、なんて思ってみたり。
で、これってうがった見方をすると、視聴率の取れなくなったと見なさ れてしまったTVタレントの様な感じなのかもしれない。
で今回、その「チーム安倍」の中には、前回の衆議院選挙で広報戦術に よって自民党を圧勝に導いたとされる「広報のプロ」世耕議員もいるはず なんだよね。 それなのに、その内閣府のメッセージが国民に届いていないっていうの は、今のところはまだ様子を見ているのか、それとも彼の手腕を持って しても、安倍総理(周辺)のメッセージ力は弱いのだろうか。
でも、例えば小泉前首相の場合って、ワンフレーズポリティクスと批判 されても、彼が何を言うのか、国民も、そして彼の敵とされた抵抗勢力 と呼ばれた人たちも固唾を呑んで見守っていたと思うんだよね。
で、実際大したことは言わなくても、彼が発言をすれば必ずマスメディ アでは取り上げたと思うし、反発がおきても影響力ってあったと思うん だけど、とりあえず安倍総理およびその周辺が発言した言葉で、印象に 残った発言って今のところない気がするのだ。
その一方では、いろんな事の責任があいまいにされたまま、教育基本法 や、防衛庁の防衛省格上げなどの重要法案が決まっていって。 何となく、国民不在というか、彼らがどの辺を見ながら政策決定してい るのかが、わからないまま、何となくという雰囲気に流される怖さと いうより、不気味さも少し感じるような感じもあり。
まあ、もっとも、小泉前政権と安倍政権の大きな違いって、その一見 わかりやすいように見えるかどうかの違いしかないのかもしれないし、 また、民主党にしたって、小沢さんになってから、じゃあマスメディア の登場回数が増えたのか、と言われればそんな事はないわけで。 どっちもどっちといえばその通りのような気もするのだ。 それで果たしていいのか、という気もするのだが。
本当は、ニュースやワイドショーで政治スキャンダルとか猿山のボス 争いだけが注目されるのではなく、政策について政党同士もっと活発な 議論が起きたほうがいいような気もするんだけど、それが果たして面白 いのか、と言われると何ともいえないし。
果たしてこの先、安倍総理とその周辺の発言力は段々と増してくるのか それともこのままなのか、その辺の不思議な感じがちょっとだけ気に なる今日この頃なのである。
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