2006年12月23日(土) |
クリスマスおすすめDVD |
最近は、毎年クリスマスシーズンに1本、オススメのDVD作品を紹介する ようにしている。 ちなみに昨年紹介したのが、「最後の恋の始め方」
で、今年は何を紹介しようかと思ったんだけど、今年はやっぱり これでしょう、という事で、映画「RENT」のDVD(セル版)。 またか、と思われる人もいるかもしれないけれど、個人的に今年一番 印象に残った作品が、この「RENT」なんだよね。
作品についての詳しい内容は、今年の4月に見に行った映画版の感想と、 この間見に行ったミュージカル版の感想を見ていただくとして。 実はミュージカル版を見た後で、このDVDを買ったんだけど、いや、 映画版って、実によく出来ているんだ、と感心したのである。
オリジナルのミュージカルの雰囲気を損なうことなく、むしろ実際の NYの街並みを舞台にすることで、物語の魅力を大きくふくらませる事に 成功していると思うのだ。
そこには、監督のクリス・コロンバスをはじめとして、映画スタッフの オリジナルのミュージカル版に対しての尊敬の気持ちと愛情が感じられ るような気がして。
という事で、最近は好きなアーティストのミュージックDVD(PV)を見るか のごとく、家で暇している時に、この映画の好きなシーン、曲の部分を BGVとして流していて。 好きな歌だと、一緒に歌いたくなっちゃうしね。
で、私がレンタル版ではなく、このセル版をオススメするのには、もう 一つ理由がある。 それが特典ディスクとしてついてくる、ドキュメンタリーである。
これは、普通の映画のメイキングとはちょっと異なっている。 それは、このオリジナルのミュージカルを作り上げた、ジョナサン・ ラーソンの生涯を、彼の家族、友人、ミュージカルのスタッフ、キャス トたちのインタビューによって描き出した作品なのである。
ジョナサン・ラーソンは、このオリジナルの舞台の幕が開く正にその 前夜、脳出血によって一人でこの世を去ってしまう。
だけどその彼が死に至るまでの、何年もの長い時間をかけて、この レントという作品が生み出されてきたんだ、という事がこのドキュメン タリーによって明らかにされるのだ。
彼は売れない時代、ダイナー(アメリカの大衆レストラン)のウェイター をしながら、勤務時間を生活できるぎりぎりまで削って、その残りの 時間を作曲に費やしていたらしい。
そしてレント上演の2年前、初めて行なった脚本のワークショップで、 彼の作品に興味を示し、出資してくれる人が現れて、彼はダイナーの バイトをやめてミュージカル作りに専念する。
だけどその間にも、彼の大切な友人たちが何人もエイズによって亡く なっていってしまう。 その時の彼の気持ちが、このレントという作品に反映されている、と いうのがよくわかるのだ。
もう一つは、アメリカのショービス界の舞台裏をのぞける事もこの特典 DVDの特徴で。 日本の場合って、基本的に一つの作品が出来上がるまでには、正味1〜 2ヶ月前から稽古に入って、本番の日もすでに決まっている、というのが 普通だと思うんだけど、アメリカの場合、まずは脚本・曲の読み合わせ のようなワークショップを開き、そこからキャストを選び、彼らと共に 原石を磨き上げて、作品を作り上げていく、という事を知り。
そこまでして練り上げた作品だからこそ、このレントという作品の持つ 魅力が増していると思うし、初日の前日にジョナサン・ラーソンが死ん でしまったにも関わらず、それまで一緒に作品に関わってきた残りの キャスト、スタッフによって、この作品が上演できたんだなあ、という 事がわかるのだ。
で、映画版を作るにあたり、監督のクリス・コロンバスが初演時の オリジナルキャストにこだわった理由もよくわかる気がするのである。 彼らオリジナルキャストは、ジョナサン・ラーソンと一緒の時間を過ご したというかけがえのない経験を持っている訳で、クリス・コロンバス は、その質感みたいなものをこの映画版に残したかったんだろうな、 と思うのだ。
そしてそれは見事に成功していると思うのである。
という事で長く語ってしまいましたが、1989年のクリスマス・イブに 始まり1990年のクリスマス・イブに終わる、この作品を今年のクリス マスにオススメのDVDとして紹介したいと思います。
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