蛇腹食堂
書人*なび太

   

  




烏賊丸毛
2004年01月03日(土)
正月早々、両親は東京にお出かけ。
昼飯を地元のピザ屋で済ます。

僕が頼んだのは単なる「マルゲリータ」だが、
隣の席のおじさんが頼んだと思しき、
新メニュー「イカスミマルゲリータ」が、
何故か僕のテーブルに運ばれてきた。

黒い。
凄まじく黒い。

羽子板敗北の屈辱の証である、
「お顔に墨塗り」の儀式を彷彿とさせる点では、
大変正月らしと言えば正月らしい。
しかし、正月早々他人の注文した物を食べて、
地雷を踏む気はない。

「あの、すいません。
 これ、僕が頼んだ奴じゃないんですけど…」

店員は慌てて、
隣の席へと「イカスミマルゲリータ」を運んでいった。
何故か恨みがましい目で僕を睨みつける隣の席のおじさん。
理不尽すぎる。
非常に鬱屈とした気持ちのまま、
ようやく運ばれてきたマルゲリータをさっさと胃袋に押し込む。
完食後、水を飲みつつ再びチラリと隣の席を覗き見ると、
おじさんは真っ黒になった歯を剥き出しにして、
同席している奥さんにつまらんジョークを浴びせかけていた。
死んでしまえ。
お前なんかイカに金的を吸われて死んでしまえ。

おじさんに毒電波を発射しつつ会計へ。

「1300円になります」

おかしい。
マルゲリータにしては高い。
思わずバイトと思しき店員のお姉さんとじっと見つめあう。
二人同時に伝票を覗き込む。

そこにははっきりとしたボールペン字で、
「イカマルゲ 1」
と書かれていた。

マルゲ…。
丸毛…。

頭の中に強烈な天然パーマのかかった、
思い切り顔の濃ゆいイタリア人が出来て、
「ヴォーノゥ!ヴォーノゥ!!」
としつこく騒ぎ立てた。

もう二度とあんな店行かねぇよぅ!!ヽ(`Д´)ノ ウワァァァン




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