2002年12月05日(木) |
「太陽の闘士」ジョーン・ウィリアムズ&ジェイン・ディックス著 2002年早川書房 |
最近はなんだかこういう勇ましいものばかり読んでますね。 そろそろしっとりした恋のお話でも読みますか。
「人類の宇宙進出からおよそ50万年、多くの種に分化した人類は幾多の星間国家を築いている。その中のひとつ、帝国連邦の女性情報将校ロシュはAI輸送の任務で囚人護送艦に便乗していた。だが囚人の護送先の惑星シャッカで艦は突如、敵国ダート・ブロックの艦隊に襲撃された。破壊されゆく艦からロシュは脱出を試みるが・・・」背表紙より。
オーストラリアの俊英コンビが緻密に構築した世界観のもとに描く、迫力の冒険SFシリーズ開幕、だそうですが・・・。 あ〜う〜・・・正直その世界観は細かすぎてよくわかんないです。ゼータガンダム?の政治的・歴史的背景の方がまだわかりやすいくらい。A国の人間がB国の人間を嫌い、そのために陰謀が・・・ってのは「寒い国から来たスパイ」だの「ティンカー・テイラー・ソルジャー・スパイ」だのといったリアルな小説では、今自分が置かれている歴史を知っていれば、様々な楽しみがあるというものですが、こうした全くの「新世界」では、どーも感情移入が出来ないというか・・・。 せめて悪役はAK47を持ってて、いいもんはM16を持ってる、みたいなお約束でもあればわかりやすいんですけど。(最近、映画でもそんなわかりやすくはないですね・・・)
ただまぁ、レジスタンスととある国(どこの国やねん!)の艦隊との攻防というのがメインのお話なので、政治的・歴史的背景などを理解する必要もないんでしょうけど。ええ、オヤジ好みのドンパチで終始しますし、めちゃ強い「冷凍睡眠から目覚めたばかりの兵士」だの、アタッシュケースに詰め込まれたAIだの、かなり実用的?なバトルスーツだのといったギミック満載ですから、お話そのものは飽きずに最後まで読めます。 こだわりにこだわった細かーい設定と息をもつかせぬアクションで読ませるこの作品は、ハリントンやシーフォートのような熱狂的な「個人的」ファンというのは生まれにくい作品かもしれませんね。
正直、今作品に登場する面白ギミックは無しです。 全てが過去のSFからの寄せ集めなんですね。 究極の「いいとこ取り」なお話です。 あ、一つだけ。 ネタバレになるんで詳細は省きますが、とあるライフルの「顛末」には心打たれました。ただ派手なだけじゃない、人間ドラマも描けるんだぜという意地を見せてくれたライフルです。
「銀河戦記エヴァージェンス1」となってますから、これからもぶいぶいお話は展開するんでしょうけど・・・SFな気分にただ浸っていたい時に読むのがよいかと。 描かれている人間関係に嫌気がさすこともなく「別の世界」を楽しめます。
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