デイドリーム ビリーバー
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「いつまで俺のこと苗字で呼ぶん?」 何の話の続きだったか、そう言われた。 「他人行儀すぎへん?」って。
「じゃあ、なんて呼ばれたい?」と聞いたら 「それは、宙ちゃんが決めてよ」と切り替えされた。 作戦失敗。
実は、私も考えていたことでした。
私自身、最近、彼の心を近くに感じるにつれ 苗字で呼ぶことに、違和感を感じるようになってきていて。
なのに、なぜ呼び方を変えないのかと言ったら それは私が、またもや、くだらないことにこだわっているからで。
彼女は、彼のことをなんて呼んでいたのだろうか、って。
呼び方の候補はいくつかあるけど 「じゃあ、○○!」って決めて (あ、彼女と一緒)なんて思われるのは、いやです。 (あ、彼女と違う)って思われるのも、いや。 だから、彼に決めてもらおうと思っていたのに。
「彼女は何て呼んでたの?」 って、きけないわけじゃないんです。きけます、それぐらい。 だけど、きいてしまったら 同じ呼び方でいくのか、違う呼び方でいくのか 決めなきゃいけないじゃないですか。私が。
そんなしんどいのはゴメンです。
そんな私の気持ちを、知ってか知らずか、 彼は、私の頭をぽんぽんとたたいて 「自然に変わるまで待つか。 楽しみやなぁ。なんて呼ぶんやろうなぁ」 「○○ヤロウとかじゃないの?」 「パパとかかな」 「なに?お金くれるの?」 って言ったら、彼は、あっけにとられていた。
「結婚して、子供ができるまで苗字のままかな、とか そういう含みやろ、いまのは。普通気付くやろ」 いや、普通は気付かないんじゃないかな。 つきあいだして2ヶ月やそこらでは。
「あ、そういうことね。あはは」と笑ってごまかしたら 「まったく、宙ちゃんはドライやねんから」と もう彼の口癖みたいになってることを、言われた。
「そんなことないよ」
ほんとに、そんなことないんだけど。 そう思っていたら、彼が私の顔をのぞきこんで 「うん、確かに最近、そんなことないよな。 よろしいよろしい。かわいいかわいい。」 って、嬉しそうに、また頭をぽんぽん叩く。
…なんか、最近、負けっぱなしの気がする。 何に負けてるんだろう。 わからないけど、ちょっとくやしい。
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