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■ 高貴なジュース
美味しいジュースが飲みたい!
今日は、朝からずっとそう思っていた。何をしていても、ジュースの事ばかり考えてしまう。そんなことって、ありませんか?
数カ月前、童話の名前で有名なブレーメンから、鈍行列車をつかって40分程いったところに住んでいる友達の家族を訪ねた時のこと。
その家族の朝は、絞り立てのオレンジジュースではじまる。
朝目がさめて眠い目をこすりながら、階下へ降りていくと、キッチンからゴーゴーという聞き慣れない音がし、たまらなくフレッシュな香りがキッチンから部屋の中へとはじけてきた。
両手に半分に切ったオレンジをいくつも抱えて、機械と格闘している友達。
オレンジを握りしめて、白いセーターのそで口にオレンジの汁がにじんでいて、すっぴんの彼女の顔にも、自慢の金髪にもオレンジの雫がいっぱい飛び跳ねていて、それでも全然気にしないでゴーゴーとオレンジを絞ってる彼女はとても誇らし気。
私はとってもとっても感動してしまった。 だって、一杯のオレンジジュースを飲む為にあんなにたくさんのオレンジを使うなんて、全然しらなかった。そして、絞り立てのオレンジジュースが、あんなに爽やかな味がすることだって、本当にしらなかったんだ。
エネルギーが満ちあふれている彼女が作ってくれたオレンジジュースは、くもりのない正真正銘のビタミン色。
あんなジュースが飲みたい。
それで、冷蔵庫の中からジュースになりそうなものを物色する。
小さなリンゴ一個。ニンジン半分。バナナ半分。いちご2個。ヨーグルトと牛乳。はちみつ。
ジュース!ジュース!とはやる心をなだめながら、どんどん刻む。全てを大きなコップにいれて、いよいよハンドミキサーのスイッチオン!
ゴーーーという音と共に全てがミックスされていく。 そして…
???
おもいがけない色がコップの中にできあがった。
淡い、赤ちゃんの洋服みたいなサーモンピンク。 ビタミンカラーというよりも、ずっと優しい色だった。
思い描いていた、友達が作ってくれたようなエネルギーいっぱいのジュースとは違う、なんともいえないジュース。
わあ…なんか、バラの花みたいだ…
星の王子様が、はじめてバラの花が開いた時に思わず息をのんだみたいに、私も息を飲んだ。ドキドキしていた。それから、あわててシャンパングラスを食器棚からひっぱりだした。襟もちょっぴり正してみた。
飲んでしまうのがもったいないと思ったけれど、
「アタクシ、新鮮なうちに飲んでいただかないと、困りますのよ。」
と、ジュースにおこられてしまうような気がして、「失礼します。」とつぶやいて、ゴクゴクと飲んだ。色と同じ優しい、優しい包み込むような新しい味。
外はまだ冬だけれど、私のところには、一足早い春が遊びにきてくれた。
あ、でも、そういえば…今日は雪が降らなかったかもしれない…。
きっともうすぐなんですね。
2004年02月14日(土)
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